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WordPressは定期的に更新が必要だとよく言われますが、Webサイトが普通に動いていると「本当に必要なの?」と思う方も多いと思います。
実際、Webサイトを運用していて何も問題が起こらなければ、更新の必要性を感じにくいものです。
ですが、きちんと表示されているから大丈夫と思っていても、気づかないうちに脆弱性や不具合などのリスクが積み重なっているかもしれません。
本記事では、WordPressを放置することで起こる問題と、その理由についてわかりやすく解説します。
WordPressで更新対象になるもの
WordPressでは、ソフトウェアを最新の状態に保つために更新という作業が定期的に必要になります。これは単体の作業ではなく、複数の対象に対して行われるものです。
ここでは、WordPressで更新が必要になる主な項目について簡単に整理しておきます。
WordPress本体
WordPress本体とは、管理画面の構成や基本的な動作など、サイト全体を支える中心的な部分を指します。
この本体の更新には2種類あり、セキュリティ強化や不具合修正を目的としたマイナーアップデートと、新機能の追加や仕様変更を伴うメジャーアップデートがあります。
プラグイン
プラグインは、WordPressに機能を追加するための拡張ツールです。
お問い合わせフォームやSNS連携、SEO対策など、サイトの目的に応じて自分で追加し、それぞれ個別に更新する必要があります。
テーマの更新
テーマは、Webサイトのデザインだけでなく、機能を調整するためのものです。
基本的に1つのテーマを選んで使用しますが、多くのテーマには更新が提供されており、自分で適用する必要があります。
この3つはそれぞれが独立しているため、すべての項目を意識して管理することが大切です。
なぜWordPressを更新しないのか
WordPressの更新は、セキュリティや安定性のために重要だとされていますが、実際には更新されないまま使い続けられているサイトも少なくありません。
更新の必要性に気づいていないケースもあれば、わかってはいても不安や面倒さから後回しにしてしまうケースなど、背景は様々です。
更新の必要性を認識していないケース
そもそも更新が必要だと思っていなかった
WordPressに更新が必要だという認識がないまま、サイトを運用しているケースは少なくありません。
特に制作を外部に依頼してそのまま任せきりにしている場合や、自分で触る機会がほとんどない場合など、そもそも更新という作業が必要だという認識がないまま運用されていることがあります。
Webの専門知識が少ないと、サイトが動いていればそれで十分と考えてしまい、更新という存在そのものを意識するきっかけがない場合もあります。
自動更新されていると思っていた
最近のWordPressは、本体の一部の更新が初期設定で自動的に行われるようになっているため、特に何もしなくても最新の状態が保たれていると思うことも少なくありません。
しかし、自動更新機能が導入されたのは比較的新しいバージョンからであり、古いWordPressを使っている場合は、そもそも自動更新の機能自体が備わっていないこともあります。
また、自動更新が有効になっている場合でも、設定が変更されていたり、使用しているサーバー環境や構成によって、更新が適用されていないケースもあります。
自動で更新されていると思っていたけど、確認したら何年も放置されていたというケースも珍しくありません。
必要だとわかっていても更新できないケース
操作感が変わることへの不安
WordPressを更新すると、見た目や使い勝手が変わってしまうのではないかと心配になることがあるかもしれません。しかし、ほとんどの更新は小さな修正や改善であり、大きく操作が変わることはあまりありません。操作が変わることに最初は戸惑うかもしれませんが、多くの場合はすぐに慣れます。それよりも、更新をしないことで発生するリスクの方がずっと大きいといえます。
今は問題なく動いている
サイトが正常に表示されていて、特に不具合も感じていないと、わざわざ更新しなくてもいいのでは?と思うかもしれません。
表面上問題がないように見えていても、裏では気づかないうちに不具合やセキュリティリスクが進行していることがあります。トラブルが表に出る前に、更新が必要な状態かどうかを確認しておくことが重要です。
古すぎて手が出せない
更新の必要性は理解していても、長期間放置してしまうと何から手をつけていいのかわからず、そのままになってしまうことがあります。
管理画面を開いた途端にエラーや警告が表示されたり、プラグインやテーマが動作しなくなっていたりすると、自力での対応が難しいかもしれません。対応が遅れるほど状況は複雑になりやすいため、判断に迷う場合は早めに専門家に相談するのもひとつの方法です。
WordPressを更新しないと起こる問題
WordPressを更新しないと、Webサイトの安全性や動作に様々な影響が出る可能性があります。
ここでは、更新をしないことでどんな問題が起こるのか、実際のリスクを見ていきましょう。
セキュリティリスクが高まる
WordPressは世界中で利用されているため、脆弱性が発見されるとすぐに攻撃の標的になります。特に、長期間アップデートされていないWebサイトは、既知の脆弱性を狙われやすく、侵入されるリスクが高まります。
実際に、古いバージョンのWordPressを放置していたことが原因でWebサイトが乗っ取られ、不正な広告やマルウェアを仕込まれた事例もあります。詳しくは『WordPressはセキュリティが弱い?被害事例とすぐにできる対策』参照。
最悪の場合、検索エンジンから危険なサイトと判断され、アクセス自体を制限されることもあります。
表示崩れや機能停止する可能性がある
WordPressを更新せずに放置していると、ある日突然表示が崩れたり、機能しなくなることがあります。
WordPress本体・プラグイン・テーマのどれか一つでも古いままだと、他の動作に影響を及ぼし、表示や動作に影響が出ることがあります。
特に、プラグインや、カスタマイズされたテーマは影響を受けやすく、トラブルの原因になりやすいです。
場合によっては修正が困難になり、最終的にサイトを一から作り直すことになるケースもあります。
バグや不具合が発生する
更新にはバグや不具合の修正も含まれています。
更新しないまま放置すると、すでに解決されている問題を抱え続けることになり、動作が不安定になったり、一部の機能が正しく動作しなくなったりすることがあります。
小さな不具合が積み重なり、大きな問題になっていたということも少なくありません。
表示速度が低下する
更新には動作の最適化や、表示速度の向上などパフォーマンス向上のための調整も含まれています。
古いバージョンを使い続けると、不要な処理や非効率なコードが残り、表示速度が落ちてしまうことがあります。
表示が遅いサイトはユーザーのストレスにつながり、離脱率の上昇やコンバージョン率の低下を招くこともあります。
このように、WordPressを更新せず放置していると、サイトの安全性や動作の安定性が損なわれ、表示崩れや機能停止、速度低下といった様々な問題が発生します。これらはユーザーの離脱や検索順位の低下を招き、結果としてサイトの信頼性や集客力に影響を与えることがあります。
今のままで問題ないと思っていても、実は見えないところでリスクが高まっています。サイトを正しく安全に快適にするためにも更新は欠かせません。
まとめ
特に問題が起きていなければこのままで大丈夫かなと思いがちですが、気づかないうちに様々なリスクが進行し、思わぬトラブルにつながってしまうことも少なくありません。
WordPressを更新せず放置していると、セキュリティの脆弱性が解消されず、結果として容易に不正アクセスを許してしまいます。
また、古いプラグインやテーマを利用し続けると、動作に支障をきたしたり、ページが正常に表示されなかったり、表示速度や操作性が低下するなど、ユーザー体験にも影響が出てきます。
こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、WordPressの定期的なメンテナンスと監視は欠かせません。Webサイトを安定稼働させるためには、放置することのリスクを十分に理解し、安全な運用を心がけることが大切です。