Resource Centerリソースセンター
WordPressを長く使っている方の中には、現在も5系のまま運用を続けているケースもあるのではないでしょうか。
問題なく動いているため更新を後回しにしているケースや、更新の必要性は感じつつも手が付けられていないケースもあるかもしれません。
しかし、WordPress5系と、それに対応するPHP8.1のサポートが間もなく終了する予定です。サポートが切れると、セキュリティの更新や不具合修正が行われなくなり、サイトの安定運用が徐々に難しくなります。
この記事では、サポート終了によって起こりうる影響と、移行に向けて確認しておきたいポイントについて整理します。
WordPressとPHPの関係
WordPressはPHPという仕組みの上で動作しているため、PHP側に問題があると、WordPress本体だけでなくテーマやプラグインの動作にも影響が出ます。
PHPではバージョンアップの際に仕様が変更されることが多く、動作のルールが変わったり、古い書式が使えなくなることもあります。その結果、以前は問題なく動いていたコードがバージョン変更を機にエラーを引き起こすことも少なくありません。
加えて、サーバー会社によっては、サポートが終了したPHPを自動的に新しいバージョンへ切り替えるケースもあり、自分では何も操作していないのに、ある日突然サイトが動かなくなるというケースが実際に発生しています。
このように、WordPressとPHPは切り離せない関係にあり、どちらか一方だけ確認するだけでは不十分です。WordPressのバージョンアップを考える際は、対応しているPHPのバージョンもあわせて確認する必要があります。
なぜ今対応が必要なのか
WordPressやPHPにはそれぞれサポート期限があり、サポートが終了するとセキュリティ更新や不具合修正が行われなくなります。そのまま運用を続ければ、脆弱性を突かれるリスクが高まり、最悪の場合サイトが機能しなくなる可能性もあります。
WordPress 5系は、すでにメインの開発が終了しており、最低限のセキュリティ更新のみが続いている状態です。過去の4系では、同様の対応が約4年続いた後、完全にサポートが終了しました。この流れから見ると、5系も2025年末から2026年初頭にはサポートが打ち切られることが予想されます。
さらに問題なのは、WordPress 5系が対応している最新のPHP 8.1も、2025年12月でサポート終了となる点です。つまり、WordPressとPHPの両方が同時にサポート対象外になる時期が迫っているということです。
WordPress本体とPHPの両方がサポート切れのままでは、トラブルの発生や対応の難航は避けられません。スムーズな移行のためにも、2025年中に対応を済ませておくことをおすすめします。
6系移行が難しい理由
WordPress6系への移行は、必要性がわかっていても、実際に進めようとすると手が止まりやすい作業です。いざ対応しようとしても、何から手をつけるべきか見えづらい、作業範囲が広いなどの理由から一人で進めるには負担が大きくなりがちです。ここでは、そうした移行の難しさの背景にある構造的な要因を整理します。
構成がサイトごとに異なる
WordPressはテーマやプラグインを組み合わせて使う仕組みのため、同じバージョンでも構成が大きく異なります。カスタマイズの度合いや、古いプラグインを使っているかどうかなどによって、影響の出方は変わります。全てのサイトに共通する手順がなく、個別に確認が必要になります。
内部の仕様変更が影響しやすい
WordPress6系では、編集画面や出力されるHTMLの構造が変更されており、今まで動いていたテーマや機能に不具合が出ることがあります。以前から使われていた機能の中には廃止されたものもあり、それらに依存している場合は、表面上は正常に見えても、特定の操作でエラーになるなどの問題が起こることがあります。
外部との連携箇所が把握しづらい
過去に連携された外部システムや、独自の処理が組み込まれている場合、それが現在も正常に動いているのか、どのバージョンのPHPに依存しているのかなど、実際の仕様が把握しきれていないケースもあります。これらは表に出にくく、影響が見えづらい分、対応に時間がかかることがあります。
作業範囲が広く全体の把握が難しい
移行にはテーマやプラグインに加えて、個別の処理やサーバー設定も関係してくるため、対応範囲が自然と広くなります。調査を進めないと必要な作業が見えてこない場合も多く、業者に相談しても、その場で見積もりが出せないことがあります。状況によっては、リスクや手間の大きさから、対応を断られるケースもあります。
このように、移行作業には多くの確認事項があり、影響範囲もサイトごとに異なります。対応を進めるには、まず現状を整理することが欠かせません。
作業に入る前に確認しておきたいこと
移行作業を始める前に、まずは現在のサイトの状態を整理しておくことが重要です。WordPress6系への移行では、テーマやプラグイン、PHPの対応状況などによって必要な対応が大きく変わるため、影響の出やすい部分をあらかじめ把握しておくことで、その後の作業を無理なく進めやすくなります。
サイトの基本構成を確認する
まずは、現在のサイトがどのような構成であるかを確認します。これは他の作業を進めるうえでの土台となる情報で、ここが曖昧なままだと、必要な対応を見極めることができません。管理画面やサーバー設定画面から現在のWordPressとPHPのバージョン、適用中のテーマやインストールされているプラグインの一覧などを把握しておくと、後の検討がしやすくなります。
テーマやプラグインの対応状況を調べる
現在使っているテーマやプラグインが、更新予定のWordPressやPHPに対応しているかを確認します。公式ディレクトリに登録されているものであれば、動作対象バージョンや更新履歴が記載されているため、対応可否の判断材料になります。更新が止まっているものが含まれている場合は、代替案の検討やテーマの作り直しが必要になることもあります。
WordPress6系の変更点に注意する
6系では編集画面の仕組みが変更されているほか、古い機能の一部が削除されています。テーマ内にそうした機能が含まれていると、エラーや表示崩れの原因になります。テーマがブロックエディタのHTMLの構造変更に対応しているか、jQueryの新しいバージョンでも正常に動作するか、削除された非推奨のタグや関数が使われていないか、といった点を中心に確認しておく必要があります。
独自に追加された機能を見直す
サイトによっては、外部サービスとの連携や、独自開発されたシステムを組み込んでいるケースがあります。これらが古いPHPの仕様に依存していると、正常に動かなくなることがほとんどです。特に設計資料が残っていない場合や、どこで何が動いているか把握しづらい場合は、影響範囲の特定に時間がかかるため、早めの確認が必要です。
これらの内容をあらかじめ整理しておくことで、作業中に起こるトラブルの予測や対応について検討がしやすくなります。
情報の洗い出しが終わったら、必要箇所の修状況の整理ができたら、どの部分に対応が必要かを見極めながら、実際の移行作業に進んでいくことになります。サイトの構成や使われている機能によって状況が異なるため、一概にこうすればいいとは言えませんが、今回の確認項目をもとにすれば、必要な更新作業の範囲は見えてくるはずです。
もし、どこから手を付けたらいいか分からない場合や、独自機能や外部システムがあって不安がある場合は、調査から更新までまとめて対応することもできますので、一度ご相談ください。
まとめ
2025年末から2026年初頭にかけてWordPress5系とPHP8.1のサポートが終了すると見込まれています。このままの状態で使い続けると、セキュリティや動作面でのリスクが高まり、安定した運営が難しくなります。
移行には、WordPress本体の更新だけでなく、テーマやプラグイン、サーバー設定、独自の処理など、多くの要素が関わってきます。しかも、サイトごとに構成が異なるため、必要な対応もバラバラです。場合によっては調査が必要になるため、作業量が増えることもあります。
まずは、自分のサイトがどのような構成であるかを確認し、どこに影響が出そうかを整理することが第一歩です。特に古いプラグインや独自の処理がある場合は、そのままでは動かなくなる可能性が高いです。
対応に時間がかかるケースもあるため、2025年内に移行を終えられるよう、早めに状況を把握して準備を進めることをおすすめします。

