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2020年7月にリリースされたGoogle アナリティクス 4(GA4)ですが、これまでのユニバーサル アナリティクス(UA)に代わりGoogle Analyticsのメインツールとして位置付けられることが決まっています。
本記事では、新しい測定ソリューションであるGA4の特徴について、解かりやすく解説します。
GA4とは?
GA4は、これまでのUAに代わる次世代の測定ソリューションです。2023年7月1日をもってUAプロパティにおける新しいヒットの処理が停止されるため、現在UAを利用している場合は、GA4に切り替えるよう推奨されています。
新しくなったGA4の機能とその特徴
今までのUAでは、ページが表示されたことでデータを計測していたため、訪れたユーザーがページ内のどこを閲覧しているかなど、クリックした場所まで取得することができませんでした。また、複数のデバイスから閲覧があった場合や再表示した場合に、重複して計測してしまうなど様々な問題がありました。新しくなったGA4では、そのような問題を改善し、ユーザーの行動をイベントごとに計測できるよう変更されています。
新しくなったGA4の特徴を以下にまとめました。
1. イベントベースのデータ収集
イベントベースのデータ収集を採用しているため、Webサイトのユーザーやアプリの利用者の行動を、それらが起こった時点でのイベントとして収集し、各イベントに属性を付与することによって『ユーザーの行動』まで分析することができるようになりました。
これにより、より細かいトラッキングが可能になり、ユーザーの心理状態や行動パターンまで予測することができます。
2. ユーザーIDによるクロスデバイストラッキング
ユーザーIDを使って、ユーザーの行動を複数のデバイスやセッションにわたり追跡することができるようになりました。ユーザーの完全なライフサイクルを追跡することができるので、正確なユーザーセグメンテーションやターゲティングが可能です。
3. AIによる予測分析
GA4は、AIによって自動化された分析機能が追加されました。ユーザーの行動パターンを分析し、未来のコンバージョンを予測することができるので、より効果的なマーケティング戦略を策定することができるようになりました。
4. 新しいレポート形式
GA4では、新しいレポートをいくつか提供しています。例えば、ユーザーのライフタイムバリュー(LTV)を計算するためのレポートや、コンバージョンに関する新しいレポートが追加されています。このレポートではユーザーの詳細な分析が可能になり、マーケティング戦略の改善に役立てることができるようになりました。
5. フレキシブルなイベントトラッキング
GA4では、イベントのトラッキングが柔軟になっています。例えば、カスタムイベントを簡単に作成できたり、イベントを自動的にトラッキングすることができるようになったので、より正確なデータを収集することができます。
GA4と今までのユニバーサルアナリティクスとの違い
GA4では、UAに比べデータの収集や分析、レポーティングを中心にいくつかの点で変更されています。
1. データモデルの違い
これまでのUAでは、ページビューベースのデータモデルを採用しています。これは、各ページビューをイベントとして扱い、各イベントに属性を付与することによって分析するため、ユーザーの行動までは計測することができず、『興味の深さ』といった心理状態までは分析できませんでした。
これに比べ、GA4はイベントベースのデータモデルを採用していますので、ウェブサイトのユーザーやアプリの利用者の行動を、それらが起こった時点でのイベントとして収集し、各イベントに属性を付与することによって分析することができるため、ページ内のどこをクリックしたかや、どのビデオを再生したといった情報を正確に取得、ユーザーがスクロールして何度も同じ個所を読み込むといった行動から、『心理的な分析』までできるようになりました。
2. ユーザーIDの取り扱いの違い
UAのページビューベースの計測モデルでは、同じユーザーが異なるデバイスでアクセスした場合に、それが同じユーザーであることを正確に認識することができず、同じユーザーが複数のデバイスでアクセスした場合に、正確なユーザー行動の分析ができませんでした。
GA4では、ユーザーIDを使い、ユーザーの行動を複数のデバイスやセッションにわたって追跡することが可能になりました。
3. イベントトラッキングの違い
これまでは、イベントのトラッキングを設定するためには、カスタムコードを書く必要がありましたが、GA4では、カスタムイベントとして簡単に作成することができるようになりました。
GA4の設置と移行方法
以前は「GA4アシスタント」を使って手動でGA4プロパティを作成する必要がありましたが、2023年4月頃から自動的にGA4のプロパティが作成されるよう仕様が変更されました。
作成されたGA4のプロパティでトラッキングが可能なUAタグは、『gtag.js』形式のタグのみなので、『analytics.js』形式以前のタグを使用している場合は、GA4タグに差し替える必要があります。
GA4タグへの差し替え方法
GA4タグを手動で差し替える場合は、設定アシスタントを利用すると便利です。(2023年4月現在)
「管理」からGoogleによって自動作成されたGA4プロパティを選択し、「ホーム」を開くと「ウェブサイトから受信したデータはまだありません。」と表示されます。
表示の下の「タグの設定手順を確認」ボタンをクリックすると、画面が次々と表示され、「実装手順」のポップアップ画面が表示されます。
「ウェブサイト作成ツールまたは CMS を使用してインストールする」タブを選択された状態で、自身が運営するWebサイトにあったプラットフォームを選択することで、実装方法がページ下に表示されます。
直接GA4タグをWebサイトに書き込む場合
選択肢に自信が運営するWebサイトの形式が無い場合は、手動でGA4のトラッキングタグを差し替える必要があります。GTM(Googleタグマネージャー)を利用せずに、直接タグを設置する場合は「手動でインストールする」タブに切り替え、表示されたトラッキングタグをコピー&ペーストで各ページの head 要素の直後に貼り付けましょう。
以上でGA4のトラッキング設定が完了しました。GA4はリアルタイムでのトラッキングを行っているため、設置後はすぐにアクセス状況を確認することができます。
また、UAプロパティでトラッキングされていたデータはGA4プロパティに引き継ぐことはできませんので、過去のデータを閲覧することが想定される場合は、必ずUAプロパティから過去のデータをエクスポートして保存しておきましょう。
まとめ
UAは2023年7月1日をもってデータ収集が行われなくなり、その後6ヶ月間は閲覧が可能とされていますが、UAのデータはGA4には引き継がれないため早期に移行することをおすすめします。また、過去のデータを参照する必要がある場合は、遅くとも2023年中にエクスポートするなどしてデータを保存しましょう。
GA4は、これまでのUAと比べて大幅に機能が拡張されているため、利用にあたっては学習コストがかかる場合があります。ただし、より高度なデータ分析やマーケティング戦略の改善を目指す場合には、GA4を使用することで多くのメリットが得られる筈です。